DESTINY⁺(デスティニー・プラス)はDemonstration and Experiment of Space Technology for INterplanetary voYage with Phaethon fLyby and dUst Science の略称で、惑星間航行中にダスト(固体微粒子)の組成や軌道をその場で分析し、小惑星Phaethonのフライバイ探査を行う計画です。
小惑星Phaethon(フェートンまたはファエトンとも呼ばれる)は DESTINY⁺(デスティニー・プラス)の目標天体です。
Phaethonはふたご座流星群の母親天体であり、毎年12月に流星群としてたくさんのダストを地球に届けています。Phaethonは楕円軌道で太陽の周りを回っていて、地球と太陽の距離の約10分の1の距離まで太陽に接近し、天体表面は700度以上に加熱されます(図1)。太陽に最接近する際は彗星のようにダストを噴いているため、「活動的小惑星」と呼ばれます。
大きさは直径約6㎞で、地球に接近する最大級の小惑星です。地球からの観測により推定されている天体の形は、そろばんのコマ形で、Hayabusa2(はやぶさ2)が探査をした小惑星Ryugu(リュウグウ)とアメリカ・NASAのOSIRIS-REx(オサイリス・レックス)が探査をした小惑星Bennu(ベンヌ)と似た形をしています。また、Phaethonの天体表面が太陽の光を反射する特性を地球から観測すると、RyuguやBennuと同様に炭素や有機物を多く含む天体であることがわかっています。